【格闘技】不屈の侍エスコベド「退屈しない試合を見せたい」=DREAM個別インタビュー

 総合格闘技「DREAM.13」(3月22日、神奈川・横浜アリーナ)を2日後に控えた20日、東京都内のホテルで恒例の個別インタビューが行われた。

 米国の金網総合格闘技「WEC」の初代フェザー級王者コール・エスコベドがDREAM初参戦。エスコベドは対戦相手の前田吉朗を「DREAMフェザー級の中でもベストの選手の一人。前田選手の試合は勝っても負けてもツマらない試合は見たことがない」と高い評価する。
 その一方、生まれながらにしてサムライスピリットを持つと自負し、エキサイティングな試合を見せると宣言すると、3年前に患った大病を克服した経緯なども語った。

エスコベド「サムライ精神を見せて退屈しない試合を見せたい」

――まず試合前の心境から教えてください。

試合に対する思いは毎回変わらず同じでいるのですが、今回は国外での試合が初めてで、日本で試合ができるということでとても楽しみにしています。

――DREAMの印象はいかがですか?

今のところとてもいい印象を持っています。すごくよくしてもらっていますし、下位のプロモーションだとそれこそ悪夢のような思いをすることもあるのですが、スタッフの人たちがとても尊重して扱ってくれ、多くの選手が「DREAMで試合をしたい」というのがよく分かります。とてもプロフェショナルな印象です。

――DREAMフェザー級のレベルをどう思いますか?

フェザー級というのはトリッキーなクラスだと思っていますが、DREAMではビビアーノ選手とハンセン選手がトップ2だという印象です。彼らと試合をしたことはありませんが、私は他のプロモーションでトップクラスの選手と戦ってきたから今回のチャンスをもらえたのだと思っています。

――対戦相手である前田選手の印象は?

WECでもチャーリー・バレンシアミゲール・トーレスといい試合をしていたし、いい選手だという印象を持っています。DREAMフェザー級の中でもベストの選手の一人でしょうし、その相手としてプロモーターが選んでくれたのは嬉しい。それが正しかったと証明できる試合をしたいと思います。いいマッチアップだと思うし、エキサイティングな試合をしたい。前田選手の試合は勝っても負けてもツマらない試合は見たことがありません。

――日本のファンにどんな試合を見せたいですか?

自分はサムライ精神を持ってキャリアを送ってきました。それは殺されるまでギブアップしない、死ぬまで負けではない、といった精神です。明後日はサムライ精神を見せて退屈しない試合を見せたい。退屈だからと席を立つ間がないような試合で、勝っても負けても見てよかったという試合を見せたいです。

――あなたのサムライ精神は何の影響なのですか?

サムライ精神というのは持って生まれてくるものだと思う。そういう精神がないとチャンピオンになれないとも思っています。これまでも背中の手術だったりたくさんの苦労があったし、家庭環境もハードな中にあったけど自分たちで道を切り開いてきました。いろんな苦しみを通じてそういう精神を培ってきたと思っています。

――背中の手術というのは?

病院内で院内感染して、背骨がマヒする状態になったんです。そこから回復して這い上がるために自分の強さを示さなければいけませんでした。左腕がマヒしてしまい、手術まで右腕しか使えない状態でした。これがあったのは3年前の1月です。

――病気を経験して何か考え方が変わったりしましたか?

人間的にもファイターとしても成長できたと思います。手術の前は感謝の気持ちが足りないところがありました。でも手術後は買い物に行ったり公園に行ける、自分のことが自分でできるという普通のことに感謝できるようになりました。ファイターとしても自分の才能を当たり前のものに思わず、大切にして磨いていくことにしました。

――あなたの腕には日本語のタトゥーがありますね。

“恐怖”という意味と“尊敬”という意味でこれを彫ったのですが、みなさん見たら笑われるでしょうね。これを入れた理由は若い頃ポリスアカデミーに入って警官になりたくて訓練をしていたのですが、“恐れ”と“尊敬”の間にある薄いライン、その中間でありたい、怖いけど尊敬される警察官になりたいと思っていたんです。それを常に思い出すためにこれを入れたんです。でも当時は「警官になるには若すぎる」というのをあまりにもたくさん言われてやる気を失ってしまい、ファイターに転向しました。けれど今も警察官には憧れがあって、もしファイターとしてエキサイトさせる試合ができなくなれば、次のキャリアとして警察官を考えたいと思います。

――温厚そうに見えますが、あなたにとって戦うということ何なのですか?

もともと戦うのが好きなタチではないのですが、自分の中に何か駆り立てるものがあるのだと思います。私は生まれつきのファイターなんじゃないかと思っています。私は技をピックアップするのがすごく速かったり、戦いに向いているというか、サムライスピリットがそうさせているのだと思います。台風やタイフーンが中心では静かなように、そういう静けさゆえの怖さを私は持っていると思います。

■DREAM.13
3月22日(月・祝)神奈川・横浜アリーナ 開場15:00 開始16:00(予定)

【対戦カード】

<DREAMフェザー級タイトルマッチ>
[王者]ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル/レボリューション・ファイトチーム)
[挑戦者]ヨアキム・ハンセンノルウェー/フロントライン・アカデミー/初代DREAMライト級王者)

<ヘビー級ワンマッチ>
ジョシュ・バーネット(米国)
マイティ・モー(米国)

<無差別級ワンマッチ>
ミノワマン(日本/フリー)
ジミー・アンブリッツ(米国/トッド・メディーナ・フリースタイル柔術アカデミー)

ウェルター級ワンマッチ>
長南 亮(日本/Team M.A.D.)
アンドリュース・ナカハラ(ブラジル/極真会館

<ライト級ワンマッチ>
KJ・ヌーン(米国/シティ・ボクシング)
アンドレ・ジダ(ブラジル/EVOLUCAO−THAI)

<ライト級ワンマッチ>
菊野克紀(日本/ALLIANCE−SQUARE)
弘中邦佳(日本/マスタージャパン)

フェザー級ワンマッチ>
前田吉朗(日本/パンクラス稲垣組)
コール・エスコベド(米国/Pacific Martial Arts)