「大相撲初場所13日目」(22日、両国国技館
 横綱朝青龍が、大関琴欧洲をかいなひねりで退け1敗を守った。横綱白鵬大関魁皇に敗れたため、14日目に大関日馬富士に勝てば25回目の優勝が決まる。22日発売の写真週刊誌「フライデー」で報じられた暴力騒動は、師匠の高砂親方(元大関朝潮)が武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)に直接説明にいく事態に発展したものの、土俵上で騒ぎを“ひとひねり”した。3敗は白鵬日馬富士に、関脇把瑠都と平幕の豊響
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 わが道を行く“暴れん坊横綱”の集中力が研ぎ澄まされた。左前まわしを引き、頭をつけた朝青龍琴欧洲の左手首をつかみ、相手の怪力を殺した。次の瞬間だ。左手をまわしから放して両手で相手の左腕をひねりあげる。身長203センチを土俵に転がした。胸を張り、敗者にいちべつもくれず、勝ち名乗りを受けた。
 決まり手は、幕内で自身41手目となる「かいなひねり」。支度部屋では「瞬間(の技)だから。けいこ場ではやっている。2度やったらだめ」と言ってのけた。日本相撲協会広報部によれば、決まり手41手は現役最多。業師ぶりを発揮し、25度目の優勝に王手をかけた。
 フライデーに暴行騒動が掲載されたこの日、師匠の高砂親方が理事長室を訪れて、あらためて事情を説明した。理事長は「場所後に師匠と2人を呼んで注意をしなきゃいかんだろう」と厳重注意を示唆。改善されない不祥事ぐせに、うんざりした様子だった。
 並の力士なら相撲に影響するのが普通だが、朝青龍は「(新聞の)1面でいきやがったなぁ」と悪びれるそぶりは見せなかった。注意を受ける可能性についても「そういうことじゃないだろう?」と強がった。高砂親方も「(影響は)見て判断してください」と、お気楽モード。師弟そろってのマイペースぶりが強さの秘密だとしたら、何とも皮肉だ。
 25日にも厳重注意処分を受ける。14日目にも決まるV25について水を向けられても「明日は明日。分からない。自分に負けないで、集中して自分らしい相撲を取りたい」と言い切った。優勝しても即注意となれば、25日の横綱審議委員会が紛糾することは避けられない。